2007年05月02日

映画「ブラッド・ダイヤモンド」 (1)言葉の歴史は占領の歴史

blood diamond映画「ブラッド・ダイヤモンド」、久々に深く内容について考えたり、入り込むことができました。素晴らしい作品です。

主要人物が話す英語は、僕が今までにあまり耳にしたことのないアクセント(訛り)でしたので、ちょっとそれについて書いてみたいと思います。

主人公をレオナルド・ディカプリオが演じていたため、当然アメリカ人だと思っていたのですが・・・実はジンバブエ生まれ、南アフリカ共和国で軍隊に入隊し、ダイヤモンドの密輸業者(smuggler)になった白人の役でした。

とても興味深いのは、この設定に全て彼の話す英語のアクセント(訛り)の理由が隠されているのです!

映画の中で彼が

“I’m from Rhodesia.”

というのですが、この国はジンバブエ(Zimbabwe)建国前のローデシア共和国のことです。彼が生まれた当時は、ローデシアだったからだと思います。そして映画の中で彼が話していた英語はジンバブエ訛りです。

ジンバブエはかつてイギリスの占領下であったため、英語が公用語なのです。彼のアーチャー(Archer)という苗字もイギリス人男性に多く見られる名前です。そしてこの訛りは南アフリカ共和国の英語にも似ています。

南アフリカ共和国は17世紀にオランダの東インド会社の上陸によりオランダ移民が増え、そしてその後イギリスが占領します。そのため、南アフリカ共和国の英語というのは、オランダ語の影響を受けているのです。

南アフリカ共和国の白人が話すアフリカーンス(Afrikaans)というオランダ語の方言がイギリス英語と混ざっているのです。(南アフリカ共和国出身の女優、シャーリーズ・セロンがこのアフリカーンスを話します)

前置きが長くなりましたが、レオナルド・ディカプリオが話す英語は、イギリス英語とアフリカーンスというオランダ語の方言が混ざったもの、という感じです。彼の役作り、言葉の習得は絶賛されています。

アクセント(訛り)の他、語尾にも大きな特徴がありました。最後に、必ずといっていいほど、

huh? “ ”all right?” ”right?” という語尾をつけ、イントネーションを上げるのです。

 “You’re here on holiday, huh?(休暇をとってここにいるんだろ?) “ といった感じです。

あとは、恐らく、アメリカ英語の語尾で、bro (brotherの略)が、このアフリカ訛りでは、”bru(ブルー)”と発音されています。

 ”Smoking will kill you, bru.” のような言い方です。

大英帝国時代、英語は植民地政策とともにいろんな国、地域へ広まっていったため、英語のアクセント(訛り)には、英国占領の歴史が刻まれているのです。

移民の集まるニューヨークのように、第2外国語として話す英語のアクセントに加え、ネイティブスピーカーの英語にも様々なアクセントがある訳ですね。

言語を学ぶ際、こうした「背景」を理解することもとても大切だ、と改めて気付かせてくれた映画でした。


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この記事へのコメント
この映画見ていないのですが、ディカプリオは こっちの映画で ノミネートされるべきだった、と何かで読みました (Departed もすごく良いと思ったけど)
言葉の後に Huh?をつけるという所、カナダの Eh?と同じでしょうか。 ハワイでは Yeah?とつけていたような気が ・・・ 日本人にはその方が話しやすいみたいに思います。
Posted by Jun at 2007年05月02日 09:32
Junさん

コメントありがとうございます。

そうですね、僕もThe Departed、とても好きですが、演技、という観点で言うと、こちらでノミネートされるべき、と僕も思います。素晴らしかったですね。

Junさん、詳しいですねー。そうです。カナダの",eh?"「エイ?」とか、ハワイの",yeah?"「イヤァ?」も似たような表現ですね。

英語が各国に伝わり始めたとき、皆、正しく話せているかわからなかったので、最後に確認するためについた語尾だそうです。

僕もどうしても疑問文にするより、",right?" って言ってしまっていますね(笑

Mune
Posted by Mune at 2007年05月02日 13:14
後藤さん、

こんにちは。
とても興味深いお話で勉強になりました!
大学の授業でもこんなにすばらしい授業はなかったです…

実は、Blood Diamondを見た際、「この英語は本当に耳に入ってこない!」と帰国子女の友人でさえいっていたので、疑問に思っていました。歴史的なBackgroundを知っていたら、もっと違った視点で見る事ができたと思います。もう一度、意識して見てみたいと思います。
Posted by Sucre*Blanc at 2007年05月02日 14:09
Sucre*Blancさん

コメントありがとうございます。

そうなんですよね、僕も映画を見たときに「おやっ」って思ったんです・・・

アフリカ訛りについてはあまり情報がなく、調べるのに大変でした(笑

Mune
Posted by Mune at 2007年05月03日 04:44
この映画、私もついこの前見たばかりです。どこのなまりなんだろうーって疑問だったんですよね。語尾を上げるというのはなまりの一つなのですか。個人的な癖としてデカプリオがといりれているのかと思ってました・・・
↓、el faroの前をこの前通りかかって気になっていたんですよね。(実はこの日私もパスティスにはいろうと思ったら混んでて入れず。)
おいしそうなパエリア。
カルボナーラもおいしそお。そのビール、飲んだことがないので今度ぜひ試してみたいです!
Posted by vino at 2007年05月03日 05:57
vinoさん

コメントありがとうございます。

いろんな人と話をしていて、皆さん「どこの言葉?」と思ったと言ってましたね。お役にたてて嬉しいです。

vinoさん、たしか先日Chimayビール好きだっておっしゃってましたよね?たぶんミナブリーャ気に入ると思いますよー。

Mune
Posted by Mune at 2007年05月03日 21:52